そらはくもっていたけれど。
不躾ながら阪堺の161形が未履修だったので、岐阜の帰りに寄り道。
動いているか怪しかったのですが、しばらく待っていると最近ピンクの広告を纏った青雲164号がやってきました。ありがたい。
以前車庫内で161形の姿は拝むことができていました。でもやっぱり電車は動いてなんぼです。おおきな菱形パンタグラフに特徴的な上部テールライト。「ワンマンカー」以外の装飾が一切ない腰部。簡素なデザインながらも飽きがきません。かっこいい...。
↓ 数年前のお話です。
折り返し待ちに散歩がてら初めて住吉公園へ。園内の看板には未だに住吉公園電停が取り残されていました。気づけばもう何年も昔のことになってしまいますね。
あの時は確かテスト休みを利用して来阪した記憶があります。高校生でした。
”大阪に行く”
今でこそ大阪なんて中継地点でしかなくなってしまっていますが、当時の自分にとって大阪訪問は一大イベントだったように憶えています。夜行バスに乗って。
物理的な距離は変わっていないはずなのに、なぜか今ではとても近くに感じます。
「一度行ったことがある」。これだけで旅のわくわく感とかどきどき感は半減してしまう。そう思います。うれしいような、さびしいような。
そういえば阪堺線の恵美須町も場所をかえて改築されるようですね。ネットでしか見たことがない趣ある電停は、もっと早く来ておけばよかったと自責の念に駆られるには十分すぎる佇まいでした。そこに止まっていた164号も然り。
幸いなことに、大学生になってからほぼ全国の路面電車を訪ねることができました。
これからは「見たことない景色」よりも「過去の記憶」に囚われる旅をする機会が増えるんだろうな。失われた楽しさを、初めて訪ねた時のどきどきを、超えるものを見つける旅はできるのかな。
「記憶に残る景色に、逢いに行こう。」
過去の記憶を上書きできるような景色を、探しに行きたい。
なんてことを考えながら、大阪の街を一日うろうろしていました。
そらはくもっていたけれど、初めて出会った青雲は、心を晴れにしてくれた。
(すべて 2019/11/18 撮影)